日本のステーブルコイン規制・ルールの経緯

改正資金決済法を軸に、日本円ステーブルコイン(JPYC・JPYSC 等)の制度と発行体の動きを時系列・因果で整理する。

サマリー

日本のステーブルコイン規制は、2022年6月成立の改正資金決済法がステーブルコインを「電子決済手段」と定義し、発行者を銀行・資金移動業者・信託会社に限定したことに始まる(2023年6月施行)。以後、三菱UFJ信託の「Progmat」など発行基盤の整備が進み、2024年10月にJVCEAが電子決済手段の認定自主規制団体となって登録体制が整った。 2025年に入り、SBI VCトレードが国内初の電子決済手段等取引業者としてUSDCの取扱いを開始(3月)、JPYC株式会社が資金移動業者として登録され日本初の円建てステーブルコインの発行が可能になった(8月)。2026年6月1日には令和7年改正資金決済法が施行され、外国信託型ステーブルコインの電子決済手段認定や仲介業制度も始動。JPYC・SBI(JPYSC)など円建てステーブルコインの社会実装が加速している。

更新: 2026-06-03

時系列

  1. 2022
  2. 金融庁金融審議会 資金決済WG報告でステーブルコイン規律の方向性を提示

    regulation出典1
  3. 三菱UFJ信託銀行日本円連動型ステーブルコイン「Progmat Coin」発行を正式発表

    product_launch出典1
  4. 金融庁資金決済法改正案を国会提出(ステーブルコイン規制導入)

    regulation出典1
  5. テラ(Terra/UST)ドルとの連動性を失い価格が暴落

    market_event2件の報道出典1出典2
  6. 改正資金決済法参院本会議で可決・成立(ステーブルコイン規制導入)

    regulation4件の報道出典1出典2出典3出典4
  7. 改正資金決済法令和4年6月10日公布・1年以内に施行

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  8. FTX破綻(海外親会社倒産時の国内資産流出リスクの教訓に)

    regulation出典1
  9. 金融庁令和4年改正資金決済法の政令・内閣府令案等を公表(電子決済手段等取引業の登録手続等を整備)

    regulation出典1
  10. 2023
  11. JPYC社第三者型前払式支払手段発行者の登録完了

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  12. 改正資金決済法施行され、法定通貨裏付けステーブルコインの国内発行が可能に

    regulation4件の報道出典1出典2出典3出典4
  13. 三菱UFJ信託銀行ら8社株式会社Progmat設立の株主間契約締結に合意

    partnership2件の報道出典1出典2
  14. SBIホールディングスCircleと包括的業務提携の基本合意、USDC国内流通を目指す

    partnership2件の報道出典1出典2
  15. JPYC三菱UFJ信託・Progmatと信託型「JPYC(信託型)」発行の共同検討を開始

    partnership出典1
  16. 2024
  17. 北國銀行国内初の預金型ステーブルコイン「トチカ」をローンチ

    product_launch出典1
  18. 野村ホールディングス・Laser Digital・GMOインターネットグループ日本円・米ドルのステーブルコイン発行検討で基本合意書を締結

    partnership出典1
  19. ProgmatDatachainとSC国際送金基盤「Project Pax」を開始

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  20. 金融庁資金決済法改正に向けた金融審議会作業部会を開催

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  21. 金融庁JVCEAを電子決済手段等取引業等の認定資金決済事業者協会に認定

    regulation2件の報道出典1出典2
  22. 2025
  23. 金融庁暗号資産・ステーブルコインの送金決済規制見直しの制度改革案を提示

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  24. 金融庁金融審議会が資金決済WG報告書を承認、SC運用柔軟化と利用者保護強化へ

    regulation2件の報道出典1出典2
  25. SBI VCトレード電子決済手段等取引業者として国内初登録(第00001号)を完了

    regulation3件の報道出典1出典2出典3
  26. 日本政府資金決済法改正案を閣議決定し国会に提出

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  27. ジーニアス法(GENIUS Act)2025年7月施行でステーブルコイン発行に連邦銀行免許取得を義務化

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  28. JPYC資金決済法に基づく資金移動業者(第二種)の登録を取得

    regulation2件の報道出典1出典2
  29. ソニー銀行子会社Connectia Trust通じ米OCCに国家銀行免許を申請

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  30. 三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行(3メガバンク)Progmat基盤・信託型で円建てステーブルコインの共同発行を検討(報道)

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  31. JPYC株式会社日本初の円建てSC「JPYC」とプラットフォーム「JPYC EX」を正式リリース

    product_launch2件の報道出典1出典2
  32. 令和7年資金決済法改正サービス仲介業を金融規制の枠組みに組み込む方針

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  33. 2026
  34. JPYC株式会社シリーズBラウンドのファーストクローズで17.8億円の調達完了を発表(累計発行額13億円突破、月次平均約69%成長)

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  35. SBIホールディングス・Startale円建てステーブルコイン共同開発の基本合意書を締結

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  36. 片山さつき財務大臣MoneyX 2026にて円建てステーブルコインの社会実装推進を表明、今夏の金融庁内専門局新設を正式表明

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  37. 円建てステーブルコイン累計発行額10億円突破、三メガバンクの実証実験開始

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  38. SBIホールディングスMoneyX 2026でスターテイルグループと共同開発する円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表(2026年第1四半期ローンチ予定)

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  39. メタプラネットJPYC株式会社に最大4億円を投資する方針を発表(2026-03-12)

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  40. 金融庁令和7年資金決済法改正の概要を公開

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  41. 金融庁第221回国会に金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案を提出

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  42. 金融庁公式資料でJPYCを「資金移動業」と初めて明示

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  43. JPYC株式会社発行7ヶ月で総取引高350億円超を達成

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  44. SBIホールディングス「SBIネオメディアサミット2026」で信託型円建てステーブルコインJPYSCの6月末発行・ライブドアのグループ参画・スーパーアプリ構想を発表

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  45. 金融庁外国の信託型ステーブルコインを電子決済手段として認定する内閣府令改正を公布(6月1日施行)

    regulation3件の報道出典1出典2出典3
  46. 金融庁改正資金決済法の政令・府令を公布し、6月1日から施行

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  47. LINE NEXT社web3ウォレット「Unifi」に日本円ステーブルコイン「JPYC」が正式採用

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  48. 金融庁「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」制度を開始

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解説

日本のステーブルコイン規制は、2022年のTerra/UST崩壊を契機に整備が進み、2026年の改正施行で円建てステーブルコインの社会実装段階に入った。ここでは経緯のポイントを整理する(各出来事の日付・出典は時系列、事象どうしのつながりは因果関係グラフを参照)。

なぜ規制が始まったか

2022年5月のTerra/UST崩壊で、裏付けの弱いステーブルコインが連鎖的に暴落するリスクが世界的に表面化した。日本はこれを受け、同年6月に改正資金決済法を成立させ、ステーブルコインを「電子決済手段」と法的に定義。発行者を銀行・資金移動業者・信託会社に限定し、流通を担う仲介者を登録制とする枠組みを各国に先駆けて整えた(2023年6月施行)。利用者保護を前提に「発行」と「流通」を分離したのが特徴だ。

制度の骨格

  • 発行体の限定 — 銀行/資金移動業者/信託会社のみが発行できる
  • 流通の登録制 — 流通は「電子決済手段等取引業」の登録が必要
  • 自主規制の整備 — 2024年10月、JVCEAが認定資金決済事業者協会となり登録・監督体制が稼働

事業者の動き

発行基盤では三菱UFJ信託の「Progmat」が先行し、8社による合弁設立やクロスチェーン送金基盤「Project Pax」など準備が進んだ。流通面ではSBI VCトレードが国内初の電子決済手段等取引業者としてUSDCの取扱いを開始(2025年3月)。発行面ではJPYC社が資金移動業者として登録され、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」を発行(2025年8〜10月)。さらに3メガバンクがProgmat基盤での共同発行を検討、ソニー銀行は子会社を通じ米国免許を申請するなど、銀行・金融グループの参入が本格化した。

令和7年(2026年)改正のポイント

2026年6月1日施行の改正で、次の3点が導入された。

  1. 媒介に特化した「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の新設
  2. 信託型ステーブルコインの裏付け資産運用の柔軟化(一定割合まで短期国債・定期預金等を許容)
  3. 外国の信託型ステーブルコインを電子決済手段として認定する枠組み

海外発行ステーブルコインの国内取扱いルールも整備され、利用の選択肢が広がった。

論点と今後

制度が出そろい、円建てステーブルコインの社会実装(小売決済・国際送金・RWA/デジタル証券のDvP決済)が加速している。一方で、裏付け資産の運用範囲をどこまで広げるか、海外発行ステーブルコインの受け入れ条件、トラベルルール等のAML/CFT対応といった論点が残る。普及の試金石となるのは、JPYC・JPYSC(SBI×スターテイル)など円建てステーブルコインの発行残高と、決済・送金での実利用がどこまで伸びるかだ。

因果関係

ニュースから抽出した出来事(「誰が・どうなった」)をノード、「原因 → 結果」の関係を矢印で結んだ因果ネットワークです。 ノードは大きいほど多くの出来事とつながる=影響が大きいことを示し、色は前向き(緑)/後ろ向き(赤)/中立(灰)を表します。ノードをクリックすると、その出来事の詳細・原因/結果のつながり・出典が開きます。 ドラッグやホイールで移動・拡大でき、拡大すると表示範囲のラベルが増えます。下の「主な因果の流れ」は、この図から読み取れる代表的な流れをAIが抜き出したものです。

見方:大きいほど影響大(因果のつながり数)前向き後ろ向き中立/ 矢印 = 原因→結果

ノードをクリックで詳細・原因/結果のつながり・出典。ドラッグで移動、右上の + / − で拡大・縮小。ラベルは影響の大きい事象のみ表示。

主な因果の流れ

出来事のつながりを生成AIで抽出・推定したものです。精度には限界があり、必ずしも正しいとは限りません。

1

法整備が円建てステーブルコイン発行を後押し

  1. 改正資金決済法の整備・施行
  2. ステーブルコインの制度的明確化(電子決済手段/資金移動業)
  3. JPYC・SBI(JPYSC)の発行・調達・採用が加速

改正資金決済法の整備(電子決済手段としての位置づけ・JPYCの資金移動業明示)の前進と前後して、JPYCの資金調達(17.8→46→約50億円)・取引高350億円超、SBIの信託型円建てSC「JPYSC」発行計画が進んだ。法整備が発行体の動きを後押しした、という見立て。

2

外国ステーブルコインの国内取扱いが解禁へ

  1. 外国信託型ステーブルコインを電子決済手段として認定(府令改正・6/1施行)
  2. 国内での外国SC取扱いの制度的道筋
  3. 国内発行体(JPYC/JPYSC)と外国SC(USDC等)の併存・競争

2026年5月の府令改正で外国の信託型ステーブルコインが電子決済手段として認定され(6/1施行)、国内での外国SC取扱いの制度的道筋ができた。国内発行のJPYC/JPYSCと外国SCが国内市場で併存しうる環境に向かう、という見立て。

3

海外ステーブルコイン(USDC)の国内上陸

  1. SBI×Circle 提携
  2. SBI VC 国内初登録(電子決済手段等取引業 第1号)
  3. USDC 国内一般取扱を開始

改正法の登録制の下、SBIホールディングスがCircleと提携し、SBI VCトレードが国内初の電子決済手段等取引業者として登録、USDCの国内一般取扱を実現した。海外発行ステーブルコインが規制枠組み経由で国内流通する最初のルート。

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令和7年改正(仲介業・裏付け柔軟化)への流れ

  1. 金融審議会 作業部会
  2. 改正案 閣議決定・国会提出
  3. 令和7年改正 公布・6/1施行
  4. 仲介業の新設・裏付け資産の柔軟化

作業部会の議論を起点に改正案が閣議決定・国会提出され、令和7年改正として公布・2026年6月1日施行。媒介に特化した仲介業の新設と信託型の裏付け資産運用の柔軟化が柱で、第一次規制の運用課題を制度的に手当てした。

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