仮想通貨マイニングとは|個人で儲かるか・電気代・マシン・プールを完全解説【2026年最新】

公開: 更新: 技術・仕組み

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マイニングで仮想通貨を増やせるなら自宅で始めてみたい——そう考えても、電気代・マシンの値段・実際の採掘量といった具体的な数字までは見えていないことが多いはずです。先に方向性だけ示すと、日本の家庭用電気代では、個人が ASIC を 1 台動かしても電気代が採掘収入を上回り、赤字になりやすいのが現状です。さらに、Ethereum は 2022 年 9 月 15 日の「The Merge」で PoS に完全移行しており、いま「イーサリアムマイニング」を謳うサービスはほぼ詐欺と判断して問題ありません。

この記事では、個人マイニングの採算性を電気代と採掘量を実際に計算して検証し、主要な ASIC とマイニングプール、Ethereum マイニングが不可能になった経緯、クラウドマイニング詐欺の見分け方、税金の扱いまでを 2026 年 5 月時点の情報で整理します。あわせて、「仮想通貨を増やす」目的ならマイニングより現実的なステーキングなどの代替手段も取り上げ、個人で始めるべきか、買って保有・運用する方が現実的かを数字で比べられるようにしています。

マイニングとは|ブロック生成計算で報酬を得る仕組み

マイニング(採掘)とは、PoW(Proof of Work)型ブロックチェーンにおいて、計算競争に勝ったマイナーが新規発行トークンと取引手数料を報酬として受け取る仕組みです。ビットコインは約 10 分に 1 回ブロックが生成され、最初に有効な「ナンス」を見つけたマイナーが現在 3.125 BTC(2024 年の半減期後)+ 取引手数料を獲得します。

まずは本記事で頻出する用語を整理します。

用語解説
  • PoWProof of Work

    膨大な計算(ハッシュ)を通じて「正しい次のブロック」を提案する権利を競うコンセンサス方式。ビットコインが代表例。

  • ハッシュレートHashrate

    毎秒どれだけハッシュ計算ができるかを示す指標。単位は TH/s(毎秒 1 兆回)など。マイニング能力の基本単位。

  • ASICApplication Specific Integrated Circuit

    特定アルゴリズムのハッシュ計算に特化した専用チップ。現代のビットコインマイニングは ASIC 必須。

  • ネットワーク難易度Difficulty

    プロトコルがブロック生成間隔を一定に保つために自動調整する難しさの指標。マイナーが増えれば上昇する。

  • ブロック報酬Block Reward

    ブロックを生成したマイナーに与えられる新規発行トークン。BTC は 4 年に 1 度の半減期で半分に減る。

なぜマイニングが必要なのか

ビットコインのような分散型台帳は、中央管理者を置かずに「次のブロックを誰が決めるか」を合意する必要があります。PoW では計算コスト(電力消費)を「経済的な担保」として提供したマイナーに、新規発行トークンと手数料を支払う形でブロック生成権を分散させます。改ざんしようとすればネットワーク全体の半分超のハッシュレートを継続的に支配する必要があり、現実的なコストでは攻撃が成立しないという設計です。

ブロック報酬と半減期

ビットコインのブロック報酬は 2024 年 4 月の半減期で6.25 BTC から 3.125 BTC に減少しました。半減期は 210,000 ブロック(約 4 年)ごとに自動的に発生し、次回は 2028 年想定です。報酬が半減すると、難易度や BTC 価格が同じ条件でもマイナーの採掘収入は半分になるため、採算性は更に厳しくなります。半減期と価格・採算性の関係は別記事で詳述しています。

ハッシュレートの単位感

ハッシュレートは TH/s(毎秒 1 兆回のハッシュ計算)が個人向け ASIC の単位で、Antminer S21 で 200 TH/s 程度です。一方、ビットコインネットワーク全体は 2026 年時点で約 700 EH/s(= 700,000,000 TH/s)規模で推移しており(Hashrate Index ほか)、個人マシン 1 台が占めるシェアは 約 350 万分の 1という桁感です。これがソロマイニングを非現実にする最大の理由です。

マイニングの種類|ソロ・プール・クラウドの 3 タイプ

マイニングの参加形態は大きく 3 タイプに分けられ、現代の個人にとって意味があるのはプールマイニングだけ、クラウドマイニングは詐欺リスクが極めて高いという構造になっています。

種類内容現代での実用性
ソロマイニング単独でブロック発見を狙う個人ハッシュレートではほぼ不可能(数年に 1 度当たれば運)
プールマイニング複数マイナーで束ねて報酬を分配現代の主流。個人・小規模事業者の標準
クラウドマイニングハッシュレートをサービス事業者からレンタル詐欺事例が多く、新規参加は非推奨

ソロマイニングは「350 万分の 1 のシェアで 10 分に 1 回の抽選を引く」ようなものであり、当たれば 3.125 BTC を独占できる代わりに、当たるまでの平均期間は 個人ハッシュレート 1 台では数十年単位になります(350 万 × 10 分 ≒ 67 年)。プールはこの当選確率と分配を「貢献したシェア」に応じて平準化する仕組みで、個人マイナーが日々こまかい収入を得られる現実的な唯一の選択肢です。

個人マイニングの採算性|電気代を実数で計算する

「個人でマイニングを始めるべきか」の答えは、電気代と採掘量を数字で計算するだけでほぼ決着します。代表機種 Antminer S21 を例に、日本の家庭用電気代で運用した場合の損益を試算します。

計算前提(2026 年 5 月時点)

項目数値
機種Antminer S21(標準モード代表値)
ハッシュレート200 TH/s
消費電力3,500W(= 3.5 kW。機種ロット・温度・モードで 3,500〜3,550W 程度に揺れる)
電力効率17.5 J/TH
日本の家庭用電気代30 円/kWh(家庭用平均)
BTC ブロック報酬3.125 BTC(2024 年半減期後)
全体ハッシュレート700 EH/s
BTC 価格・為替1 BTC = 80,000 USD、150 円/USD

機種スペックは Bitmain 公式、電気代は資源エネルギー庁の家庭用平均値を基にしています。一方でBTC 価格・為替・全体ハッシュレートは日々変動するため、上記は試算用の代表値として置いた数字です。実際に検討する際は最新値で再計算してください(各数値の出典は記事末尾にまとめています)。

月間電気代の試算

30 円/kWh × 3.5 kW × 24 時間 × 30 日 = 75,600 円/月

1 台の Antminer S21 を家庭で 24 時間運転するだけで、月 75,600 円の電気代がかかります。日本の家庭の平均電気代は月 1 万円前後ですから、マイニングを始めた瞬間に電気代が 8 倍に膨らむ計算です。

月間採掘量の試算

個人シェアは「自分のハッシュレート ÷ 全体ハッシュレート」で求められます。

個人シェア = 200 TH/s ÷ 700,000,000 TH/s ≒ 2.857 × 10^-7
1 日のブロック数 = 144(10 分に 1 ブロック)
1 日の全体報酬 = 144 × 3.125 BTC = 450 BTC
個人 1 日採掘量 ≒ 450 BTC × 2.857 × 10^-7 ≒ 0.0001286 BTC/日
月間採掘量 ≒ 0.00386 BTC/月

BTC 価格 80,000 USD・USD/JPY 150 円で日本円換算すると、月の採掘収入は 約 46,000 円です。

月間損益(試算)

項目月額
採掘収入(BTC 80,000 USD・USD/JPY 150 想定)約 46,000 円
電気代-75,600 円
月間損益(電気代のみ)約 -29,600 円(赤字)

これに ASIC 本体価格(4,000〜5,000 USD ≒ 60〜75 万円)の減価償却(5 年で按分すると月 1〜1.3 万円程度)を加えると、家庭用電気代では Antminer S21 を 1 台動かすと毎月 4 万円前後の赤字という数字感になります。BTC 価格・難易度・為替の変動で損益は大きく振れるため、実際に検討する際は最新の Hashrate Index 等で再計算してください。損益分岐点は電気代単価で 17 円/kWh 前後と試算され、家庭用契約では達成困難、産業用大口契約や海外大規模ファームでようやく成立する水準です。

国内事例:GMO インターネットのマイニング撤退

「個人で赤字なら大手企業ならどうなのか」という疑問への答えは、過去の事例が物語っています。GMO インターネットグループは、2018 年 12 月にマイニング事業の損失処理として355 億円の特別損失を計上し、2019 年 3 月にはマイニングマシンの製造販売事業から撤退しました。自社でのマイニング事業も大幅に縮小しています。

大規模な事業投資・産業用電力契約・自社設計の ASIC を持つ大手 IT 企業ですら採算が取れずに撤退したという事実は、家庭用電気代で個人がマイニングを始めるのは非合理であることを補強しています。「マイニングで儲ける」のではなく「買う」「保有する」「ステーキングする」方が現実的です。

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マイニングマシン(ASIC)|代表機種と選び方

それでも「機材の世界観を知りたい」という方向けに、現行の代表機種を整理します。家庭での運用は騒音・発熱の点でも事実上不可能ですが、業務用ファームの設備感をつかむには有用です。

代表機種比較(2026 年 5 月時点)

機種ハッシュレート消費電力電力効率参考価格(新品)
Antminer S21200 TH/s3,500W17.5 J/TH約 4,000-5,000 USD
Antminer S21 Hyd(水冷)335 TH/s5,360W16 J/TH約 6,000-7,500 USD
Whatsminer M60S186 TH/s3,441W18.5 J/TH約 3,500-4,500 USD
Avalon A15 シリーズ194 TH/s3,420W約 17.6 J/TH約 3,500-4,500 USD

(出典: Bitmain・MicroBT・Canaan の各公式製品ページおよび Hashrate Index Rig List)

電力効率(J/TH = 1 TH/s を 1 秒間動かすのに必要なジュール)が小さいほど優秀で、現行の最新機種は 16〜18 J/TH に収束しています。過去のマシン(例: 2019 年の Antminer S17 で約 50 J/TH)と比べれば3 倍効率化していますが、それでも家庭用電気代では赤字を脱出できないというのが、本記事を貫く前提です。

GPU マイニング(参考)

ビットコインは ASIC 専用化が完了しており、GPU では数万倍のハッシュレート差で太刀打ちできません。現在 GPU マイニングが行われている主なコインは以下です。

  • Ethereum Classic(ETC)— ETH の PoW 派生
  • Ravencoin(RVN)— KAWPOW アルゴリズム
  • Ergo(ERG)— Autolykos v2
  • Kaspa(KAS)— kHeavyHash

The Merge 後に旧 ETH マイナーがこれらに流入したため難易度が急騰し、収益性は ETH マイニング全盛期と比べ大幅に低下しました。家庭用 PC で GPU 1〜2 枚の小規模採掘を試す程度なら学習目的としては成立しますが、収益期待は実質ゼロと考えるのが現実的です。

騒音・発熱・設置場所

ASIC マシンのファン騒音は 75〜85 dB(掃除機〜大型バイク並み)で、家庭の居住空間に置くのは現実的ではありません。1 台あたり 3,500W の発熱は冷房負荷も追加で発生させるため、夏場は更に電気代が膨らみます。業務用ファームは専用倉庫・産業用換気・大口電力契約で運営されており、これらが揃わない個人の家庭環境はそもそもマイニングに向いていません。

マイニングプール|仕組みと主要プール

プールは個人のハッシュレートを束ね、ブロック発見時の報酬を貢献シェアに応じて分配する仕組みです。ビットコインネットワークの過半は上位 3〜4 プール(Foundry USA・AntPool・F2Pool・ViaBTC)が占めています。

主要プールのシェア(BTC、2026-05-06 時点の想定値)

プール推定シェア
Foundry USA約 30%
AntPool約 25%
F2Pool約 10%
ViaBTC約 10%
Binance Pool約 5%
その他約 20%

(出典: BTC.com Pool Stats、Hashrate Index。シェアは時期により変動)

分配方式(PPS と PPLNS)

  • PPS(Pay Per Share): マイナーが提出した有効シェアごとに固定額を支払う方式。プールがブロック発見の運否リスクを引き受けるため、手数料はやや高め(2-4%)。収入の予測可能性が高く、小規模マイナーに向く。
  • PPLNS(Pay Per Last N Shares): 直近 N 件のシェアに基づき、実際にプールがブロックを発見した時にだけ分配する方式。手数料は低い(0-1%)が運要素があり、長期で平均収入を狙う層向き。

NiceHash(ハッシュレートの売買)

NiceHash はハッシュレートを「売る」マイナーと「買う」買い手を仲介するマーケットプレイス型サービスで、いわゆるクラウドマイニング詐欺とは性質が異なります。買い手は短期間のハッシュレートをレンタルして特定アルゴリズムを採掘でき、売り手は自分の機材で稼働した分の収益を得られる構造です。運営の透明性・出金実績の蓄積という点で詐欺サービスとは区別される正規プラットフォームのひとつです。

イーサリアムマイニングは 2022 年 9 月 15 日以降できない(The Merge)

ここは誤解が特に多いポイントです。Ethereum は 2022 年 9 月 15 日の「The Merge」で、PoW(マイニング)からPoS(ステーキング)へ完全に移行しました。以降、Ethereum メインネットでのマイニングは一切できません。

The Merge とは何だったか

The Merge はイーサリアム財団が 2020 年から段階的に準備してきた大型アップグレードで、それまで PoW で稼働していた Ethereum 実行レイヤーを、Beacon Chain(PoS)と統合する作業でした。これによりブロック生成権を「ETH 32 枚を預けたバリデータの抽選」で決める方式に変わり、マイナーという役割そのものが消滅しました(出典: Ethereum Foundation 2022-09-15 ブログ)。

移行後の旧マイナーの動き

The Merge 後、ETH を採掘していた GPU マイナーは Ethereum Classic(ETC)・Ravencoin・Ergo・Kaspa などの PoW 派生コインに移行しました。一斉移行で各コインのハッシュレートと難易度が急騰し、個別コインの収益性は ETH 時代と比較して1/5〜1/10 程度に下がったとされています。

ETH 保有者は「ステーキング」で報酬を得る

The Merge 以降、ETH 保有者は 32 ETH 単位でバリデータとなりステーキング報酬(年率 3〜4% 程度)を得ることができます。32 ETH を持たない個人でも、Lido・Rocket Pool・ether.fi などの LSD(Liquid Staking)プロトコル、または国内取引所のステーキングサービスを使えば 1 ETH 未満から参加可能です。これは「マイニング」ではなく「ステーキング」というまったく別の仕組みである点に注意してください。

「イーサリアムマイニング」を謳うサービスは詐欺の可能性が高い

2026 年現在、ETH マイニングを募集するクラウドサービスやアプリは技術的に成立しません。「イーサリアムマイニング」という言葉でユーザー資金を集めているサービスは、ほぼ詐欺と判断して問題ありません。実態は ETC や別コインを採掘して ETH 換算で表示するケース、または採掘自体行わずに資金を持ち逃げするケースが報告されています。

クラウドマイニング|「儲かる」話のほとんどは詐欺

クラウドマイニングは「マシン購入不要・電気代不要で日利○%」を謳って投資資金を集めるサービス形態です。過去事例を見る限り、その大半が詐欺と判明しているのが業界の現実です。

典型的な詐欺パターン

  1. 非現実的なリターン: 「日利 1〜2%」「月利 30%」「元本保証」など。実際の BTC マイニング年間粗利は良くて 5〜10% であり、日利 1% は年利換算で約 3,778% になります。経済的にあり得ない数字です。
  2. MLM(紹介報酬)構造: 紹介者にコミッションを支払い、新規ユーザー流入を連鎖的に拡大させる。新規流入が止まると即座に崩壊するピラミッド型。
  3. 出金停止 → 連絡途絶: 一定期間「採掘収益」を表示するが、出金申請が増えると「メンテナンス」「規制対応」「KYC 強化」を理由に停止。やがて運営連絡が途絶える。
  4. シードフレーズ要求: 「ウォレット同期のため」「採掘報酬を直接送るため」と称してシードフレーズや秘密鍵を聞き出す。正規サービスがシードフレーズを要求することは絶対にありません
  5. 海外運営・登録不明: 運営会社の所在地・法人登録が確認できない、ホワイトペーパーや監査情報がない、運営者の身元が不明。

過去の代表的詐欺事例

BitClub Network(2014-2019、約 7.22 億ドル)

「マイニングプール参加権」を販売する形でビットコイン投資を募集したが、実際には小規模なマイニングしか行わず、表示していた採掘量も操作されていた。米国司法省は 2019 年 12 月に Matthew Brent Goettsche、Jobadiah Sinclair Weeks ら 5 名を起訴し、ピラミッドスキームと認定しました(出典: US DOJ プレスリリース 2019-12-10)。

Mining Capital Coin(MCC、2018-2021、約 6,200 万ドル超)

ブラジル系米国居住者の Luiz Capuci Jr. が運営。「日利 1% のマイニング報酬」を謳ってクラウドマイニングと暗号資産トレーディングを募集したが、実態として採掘は行われていなかった。2022 年 5 月に米国司法省が8 件の罪状で起訴しました(出典: US DOJ プレスリリース 2022-05-06)。

Mirror Trading International(MTI、南アフリカ、2019-2020、約 17 億ドル)

CEO Cornelius Johannes Steynberg が運営した史上最大級の暗号資産ポンジスキームのひとつ。表向きは AI ボットによる外為・暗号資産トレードを謳い、紹介報酬で世界中から資金を集めた。米国 CFTC は 2022 年 6 月にSteynberg を被告として民事提訴し、2023 年に総額 17 億ドル超の民事制裁金・賠償を命じる判決が下されました(出典: CFTC プレスリリース、CFTC vs. Mirror Trading International 関連発表)。

HashOcean(2016 年)

「クラウドマイニング」を謳ったサービスで、登録ユーザーから資金を集めた後、2016 年に突然 Web サイトが閉鎖、運営との連絡が途絶。当時の暗号資産メディア(Cointelegraph、CCN ほか)で大きく報じられたエグジットスキャムの代表例で、被害者は世界各国にわたったとされます。

正規サービスとの見分け方

クラウドマイニング全般を避けるのが最も安全ですが、評価軸として以下を確認します。

  • 運営会社の所在地・法人登録が確認できる
  • 監査済みの財務情報を公開している
  • マイニングファームの実映像を継続的に公開している
  • 出金実績の透明性(コミュニティでの長期評価)
  • 「日利○%」「元本保証」を謳わない

これらを満たさないサービスは原則として詐欺の可能性を疑うべきです。

万が一被害に遭った場合

  • 消費者ホットライン 188
  • 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
  • 暗号資産詐欺対応の経験がある弁護士事務所

国民生活センターと警察庁サイバー犯罪相談窓口に連絡しつつ、送金記録・取引画面・運営とのやり取りを保全することが重要です。

マイニングと税金|雑所得・電気代は必要経費

マイニングで得たトークンには税金が発生します。原則として雑所得(事業規模なら事業所得)に区分され、受取時の時価で総収入金額に算入されます(国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い」)。

国税庁の取り扱い

国税庁は「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」のページで、マイニングにより取得した暗号資産の所得計算に関する FAQ を整理しています。所得金額は「マイニング報酬の取得時時価 - 必要経費(電気代等)」で求められ、所得税の確定申告対象です。

必要経費に計上できるもの

  • 電気代(マイニングに使用した分の按分)
  • マイニングマシンの減価償却費(耐用年数は資産区分により異なるため、税務上の耐用年数表または税理士に確認のうえ計上)
  • インターネット通信費の按分
  • 設置場所の家賃・冷却費の按分

これらを記録するため、電力メーターの月次記録、機材購入時の領収書、稼働ログを残しておく必要があります

売却時の追加課税

マイニングで取得した時点で雑所得が確定し、その後売却した時点では「売却額 - 取得価額(受取時時価)」の差額にも雑所得課税が発生します。例えば受取時 1 BTC = 800 万円 で得たトークンを 1 BTC = 1,000 万円で売却した場合、差額 200 万円が追加で雑所得に算入されます。

確定申告のタイミング

給与所得者は雑所得の合計が 20 万円を超えた場合、個人事業主は事業所得として確定申告が必要です。トランザクションが多い場合は、クリプタクトや Gtax などの暗号資産損益計算ツールを併用するのが現実的です。マイニング以外も含めた暗号資産の税務は別記事で詳述しています。

それでもマイニングを始めたい人へ|現実的な選択肢

ここまで読んでも「採算性を理解した上で何かしらマイニングに関わりたい」という方向けに、現実的な選択肢を整理します。

学習・実験用途(GPU 小規模)

GPU 1〜2 枚で Kaspa(KAS)・Ravencoin(RVN)・Ergo(ERG)等を試す程度なら、電気代は月数千円で済み、コンセンサス機構を実体験する学習目的としては成立します。収益期待は実質ゼロと割り切るのが前提です。

電気代が安い地域・契約

産業用大口契約(10 円台/kWh)や、海外(米テキサス州・カナダ・パラグアイ・北欧アイスランド等)の 3-5 円/kWh 地域での運用なら、業務用規模で採算が立つ可能性があります。個人で実現するハードルは極めて高いため、上場マイニング企業(Marathon Digital・Riot Platforms・CleanSpark)の株式という選択肢もあります。

業務用ファーム

数百〜数千台規模で減価償却・電力契約・運用人件費を最適化する世界です。投資額は数億円〜数十億円規模で、参入には電力契約交渉・冷却設備設計・規制対応のノウハウが必要です。

マイニング以外で仮想通貨を増やす方法|ステーキングが現実的

「マイニングで仮想通貨を増やす」こと自体が目的なら、家庭用電気代で赤字を抱える採掘より、すでに持っている資産を運用する手段のほうが現実的です。ただし手軽で安全寄りといえる選択肢は実際にはそう多くなく、敷居が低い順に並べるとステーキングがほぼ唯一の入口で、それ以外は手間かリスクが一段上がります。

ステーキング(最も手軽な代替)

PoS(Proof of Stake)型の銘柄を預けて、ネットワークの承認に参加した報酬を受け取る仕組みです。マイニングのような専用機材・電気代・騒音は不要で、対応取引所に保有しているだけで参加できる銘柄もあります。マイニングと違って「計算競争で勝つ」必要がなく、預けた量に応じて報酬が分配される点が大きな違いです。

  • ETH: 32 ETH 単位、または Lido・Rocket Pool 等の LSD・国内取引所経由で少額から
  • SOL: 国内取引所でも対応が広がっている
  • ATOM・DOT・ADA: 各種ステーキングサービスで参加可能

国内では GMOコイン・bitFlyer・Coincheck・SBI VC トレードなどが対応銘柄を順次拡大しています。年率や対応銘柄は各社が随時更新するため、最新の条件は各取引所の公式ページで確認してください。

ステーキング対応銘柄の保有・運用に。スマホ完結で口座開設・取引可能

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貸暗号資産(レンディング)

保有する暗号資産を一定期間取引所に貸し出し、貸借料を受け取るサービスです。ステーキングと同じく機材は不要ですが、貸出中は引き出せず、取引所の信用リスク(破綻・出金停止)を負う点に注意が必要です。Coincheck・GMOコイン・bitbank などが提供しています。条件は各社の公式ページで最新情報を確認してください。

DeFi の流動性提供・イールドファーミング(上級者向け)

DEX に 2 銘柄をペアで預けて取引手数料の一部を受け取る、あるいはレンディングプロトコルに預けて利回りを得る方法です。利回りは高くなりうる一方、価格変動による含み損(インパーマネントロス)・スマートコントラクトの脆弱性・詐欺プロジェクトのリスクがあり、初心者がいきなり手を出す領域ではありません。

いずれの手段も「必ず増える」ものではなく、負うリスクの種類が違うだけです。マイニングの代替として最も敷居が低いのはステーキングで、レンディングは取引所の信用リスク、DeFi はさらに技術と価格変動のリスクが乗る、という整理になります。

まとめ|マイニングは「夢」より「現実」を見て判断する

仮想通貨マイニングは PoW 型ブロックチェーンの根幹となる仕組みですが、個人が日本の家庭用電気代(約 30 円/kWh)で参加すると、Antminer S21 1 台あたり電気代だけで月約 3 万円、本体減価償却を加えれば月約 4 万円の赤字という試算になります(BTC 価格・難易度・為替で変動)。GMO インターネットのような大手 IT 企業ですら採算が取れずに撤退した事実が、ハードルの高さを物語っています。

加えて、Ethereum は 2022 年 9 月 15 日の The Merge でPoW から PoS へ移行しており、現在「イーサリアムマイニング」を謳うサービスはほぼ詐欺と判断できます。クラウドマイニングも BitClub Network・Mining Capital Coin・MTI など過去の大型詐欺事例が示すとおり、新規参加は推奨できません。「日利 1〜2%」「元本保証」を謳うサービスはほぼ詐欺と考えてください。

仮想通貨を増やすことが目的であれば、国内取引所での購入・保有、PoS 銘柄のステーキング、半減期・価格分析を踏まえた長期投資のほうが、個人にとってはるかに現実的です。マイニング自体に関心を持つこと自体は技術的好奇心として健全ですが、「副業として儲ける」という文脈では成立しにくい時代になっています。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産・マイニング機材・サービスへの投資や参加を勧誘するものではありません。マイニング報酬・電気代・難易度・税制は経済情勢や規制改正により変動します。実際に開始・申告される際は、各事業者の最新情報と税務署・税理士への確認をお願いします。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いません。

参考文献

  • Bitcoin.org「Bitcoin の仕組み」 — PoW・採掘の公式解説
  • Ethereum.org「The Merge」ロードマップ — 2022-09-15 PoS 移行の公式記録
  • Ethereum Foundation「The Merge ブログ」(2022-09-15) — Merge 完了
  • Bitmain Antminer S21 製品仕様 — 200 TH/s・3,500W 等の公式スペック
  • Hashrate Index — マイナー収益・全体ハッシュレート指標
  • BTC.com Pool Stats — 主要プールのシェア
  • 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」 — マイニング報酬の所得区分・必要経費の取扱い
  • 資源エネルギー庁「電気料金の動向」 — 日本の家庭用電気料金平均(約 30 円/kWh)
  • GMO インターネットグループ IR 2018-12-25 — マイニング事業特別損失計上のリリース
  • US DOJ「BitClub Network 起訴プレスリリース」(2019-12-10) — クラウドマイニング詐欺の代表事例
  • US DOJ「Mining Capital Coin 起訴プレスリリース」(2022-05-06) — 同
  • CFTC プレスリリース検索(Mirror Trading International / Steynberg) — 史上最大級の暗号資産ポンジ事案(CFTC が 2022 年に提訴、2023 年に総額 17 億ドル超の判決)
  • Coincheck コラム「マイニングとは」 — 国内取引所の一般向け解説
  • bitFlyer 用語集「マイニング」 — 用語整理
  • 国民生活センター — 消費者ホットライン 188
  • 警察庁サイバー犯罪相談窓口 — 各都道府県警察への連絡先
  • よくある質問

    Q個人でマイニングをして儲かりますか?
    A日本の家庭用電気代(約30円/kWh)では、代表機種 Antminer S21(消費電力3,500W)を24時間稼働させると月約75,600円の電気代がかかります。一方で同機が現在のネットワーク難易度・BTC価格(80,000USD想定)で採掘できる収入は月4万円台と試算され、ASIC本体(約60〜75万円)の減価償却を加味すると赤字になりやすいのが実情です。BTC価格・難易度・電気代単価で大きく変動するため、執筆時の最新値で再計算することを推奨します。
    Qイーサリアムはまだマイニングできますか?
    Aいいえ、できません。Ethereum は 2022 年 9 月 15 日の「The Merge」で PoW(マイニング)から PoS(ステーキング)へ完全移行しました。現在「イーサリアムマイニング」をうたうクラウドサービスやソフトは詐欺の可能性が高いため近づかないでください。代替として ETH 保有者は 32 ETH 単位(または LSD 経由で少額から)でステーキング報酬を得られます。
    Qクラウドマイニングは安全ですか?
    A新規参加は推奨できません。BitClub Network(米司法省 2019 年起訴・約7.22億ドル)、Mining Capital Coin(同 2022 年起訴・約6,200万ドル超)、Mirror Trading International(CFTC 2022 年起訴・約17億ドル)など、過去にクラウドマイニングを謳った大型詐欺が繰り返し摘発されています。「日利1〜2%」「元本保証」を謳うサービスはほぼ詐欺と考えてください。
    Qマイニングに必要な電気代はいくらですか?
    A個人向け代表機種 Antminer S21(消費電力3,500W)を例にすると、日本の家庭用電気代30円/kWhで24時間稼働させた場合、月約75,600円の電気代がかかります(30円×3.5kW×24h×30日=75,600円)。損益分岐点は電気代単価で約1.7円/kWh前後とされ、家庭用契約での採算成立はほぼ不可能です。
    Qマイニング報酬の税金はどうなりますか?
    A国税庁ガイダンスにより、マイニング報酬は受取時の時価で雑所得(事業規模なら事業所得)として課税されます。電気代・マシン代(減価償却)・通信費は必要経費に計上可能です。さらに売却時には売却額と受取時時価との差額にも雑所得課税が発生するため、年間の取引履歴と帳簿を残しておく必要があります。
    Qマイニングプールとは何ですか?
    A複数のマイナーがハッシュレートを持ち寄り、報酬を貢献度に応じて分配する仕組みです。個人で単独に採掘するソロマイニングは現代の難易度では事実上不可能で、ビットコインマイニングはほぼプール経由で行われます。主要プールは Foundry USA・AntPool・F2Pool・ViaBTC で、上位3〜4プールでネットワーク全体の過半を占めています。

    この記事の監修

    仮想通貨のトリセツ編集部
    監修仮想通貨のトリセツ編集部

    株式会社DeLT 運営

    株式会社DeLT(2023年10月設立)のメンバーで構成する編集部。金融工学とブロックチェーン実務の両面を踏まえ、コンテンツ制作・監修を行っています。

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